開発ストーリー『モバイルスクリーン』

~開発者インタビュー~

”設計会社”が何故モバイルスクリーンを開発したのか?

はじめに

 

弊社は1990年設立創業。主に自動車部品のプラスチック金型設計サービスを専門に行なっていた。

 

2006年当時私はプラスチック金型設計の上流工程となる車両開発の中のプラスチック部品の製品設計受託開拓のため客先であった豊田合成さんより愛知県豊田市のトヨタ自動車開発センターで部品の設計をしていた。

朝から夜まで設計のCADパソコン画面とにらめっこ

・・・10時間、12時間・・・・

 

ログハウスとの出会い

 

そんな時期、大学時代の同期が広島田舎の別荘地にログハウスを建て仲間みんなが招待された。

(ログハウスを立てたのも鹿児島で建築関係の会社を営む大学の後輩)

自然いっぱいの山の中にたたずむ本格的丸太ログハウスで、

外の緑いっぱいの景色もログ組みの部屋の中も癒やされる

・・・自分も欲しくなる・・・

 

色々調べてみると小さなものであればセルフビルド(自分で建てられる・・・安く済む??と分かる。)

とは言うものの基礎から色々して、やはりお金がかかる・・・そんなお金はない・・・会社を始めるときに親父の畑に小さな事務所を建てた借金やスタートアップでいろいろお金も使い貯金もほぼ無い・・・

 

新築無理なら中古!

 

新築は難しいかも知れないが中古物件探す手もあるか・・・

と思いだす・・

 

中古なら銀行のローンで買えるかも・・

(山のような借金もしたくない・・・)

 

そこで私は自宅から1時間半ぐらいで行ける岐阜中山間地の土地付き中古ログハウスを探し出す・・

 

 

岐阜県恵那市岩村で中古山小屋買う

 

インターネットで中古のログハウス探しまくる・・・

ログの物件は少ないしあっても高い・・週末は友人とネットで調べた物件の現地調査。

そのうちログじゃなくてもいいかと思えてくる・・・郡上、恵那明智、恵那串原、中津川、加茂郡白川町、久田見・・・とにかく探しまくる・・・

 

散々探したあげくやっとここがいいかもと思える物件が見つかる・・・それは恵那市岩村町阿木川湖近くの山の上の別荘地内にある斜面に立つ山小屋。

デッキから見下ろす景色が素晴らしい・・・

その時眺望の良さの値段は???と考える・・・

(その時は同じような物件で眺望がいいのと悪い差に払えるお金は100万円ぐらいかな??と思った・・)

そして購入資金全額を銀行の10年ローンで購入する。

 

普通のサラリーマンなら結婚し子供ができ少し大きくなってきたくらいで住宅ローンで家を建てたりマンション買ったり・・・の普通な感じから私の人生は人とは違う『型に はまったらあかん!!』な道をまっしぐらになったのでした。

田舎を行ったり来たり

 

二地域居住・・都市部と田舎を行ったり来たり(私の場合は微妙な田舎と田舎をですが)

 

平日は設計の仕事、パソコン画面とにらめっこ・・・

毎週末は自然いっぱいの岩村の山小屋に行くようになる。

『ほんとに自然の中、森の中は癒される』

 

大学時代の自動車部友人と敷地内雑木の伐採を行い庭を作ったり、高床式の床下空間を利用して物置部屋を作ったり・・・これがセルフビルドの始まりであった。

 

 

 

クラインガルテン

(農園付きコテージ)を知る

 

週末山小屋でいろんな作業のかたわら岩村周辺散策もした。

そんな中、クラインガルテン(ドイツ語で小さな庭の意味)農園付きコテージの存在を知る。

長野県にはすごい規模のコテージもありちょっとした村・・・そこに生まれるコミュニティがまた素晴らしい。

そして恵那市串原にもあったではないか・・・年間賃料が40万円ぐらい。

聞けば競争率が8倍だとか・・・4~5棟程しかないため申し込んでも、使える様になるのは何年も先になるとのこと。

主に過疎地の振興で自治体が一棟1000万円以上のお金をかけて作っているのだ・・・

年間40万円ほどの利用料金で単純に償却に25年・・・

それでも利用者がその地域に落とすお金や気に入れば移住促進の効果もある。

 

これを民間ベースでやれないか??と考え出す。

狭くてもいいから安い土地を買って自分のお金で一棟建てて見ようかとも考える。

リーマンショック

 

そんな折、リーマンショックが起きる。

製造業を中心に景気は急減速・・・

売上が2割3割ダウンの会社がごろごろ出だす

倒産、リストラがそこら中で起き出す。

自分でクラインガルテンどころじゃない・・・

弊社の売上もダウン・・仕事も少なくなる・・

下請けだけの設計サービスだけではダメだなと・・・

身を置く自動車産業ではなく自社の商品とかサービスとかが必要だと強く思い出す。

 

 

 

 

田舎暮らしビジネス創出事業

 

そんな時、リストラ等で失われていく雇用を作ろうと岐阜県の『田舎暮らしビジネス創出モデル事業』の募集が始まった。

中山間地でのグリーンツーリズムの創出や新たな雇用を生み出すビジネスモデル検証事業である。

 

『よし、民間ベースのクラインガルテンを提案してみよう!!』

 

土地は遊休地や耕作放棄地を借り、別荘みたいなコテージではなく、借り物の土地を前提とした移動可能なトレーラーハウスと決めた。これが、滞在型貸し農園モデル事業の始まりだった。

 

クラインガルテン恵那岩村スタート

 

トレーラーハウスの滞在型貸し農園モデル事業の場所は山小屋の近く見晴らしのいい遊休地を借りれる事になった。これがトレーラーハウスとの接点である。

最初は賃借で12帖タイプのトレーラーハウス作りから始まり、8帖タイプ、みんなが手軽に使えるとすればと言うことでコンパクトな6帖タイプトイレ付きトレーラーハウスを作った。

 

この時、ずっと同じ場所にいるのではなく自分の車でけん引でき色々な場所にいけたら楽しいかもと思う。

それならハウスは必要最小限のコンパクトなものでなるべく安く作りたい・・・・今思えば同時期アメリカでもリーマンショックを機にタイニーハウスムーブメントが起きていた。

車輪ユニット脱着式トレーラーの誕生

 

ハウス部分は大学自動車部後輩が2×4工法のパネル製造・建築をやっていて、色々手伝ってもらいながらお客様に販売する6帖タイプのトレーラーハウスのキット開発を行って行った。

そして従来のトレーラーハウスというのはハウスにタイヤ(車軸)がくっついているが、動かすときだけ脱着できたら安く提供できるのではと考えた。・・・設計屋の血が騒ぎ出す・・・

そんな経緯で段階を追って車輪ユニット脱着式トレーラー構造が生まれた。

3年間に及ぶ貸し農園モデル事業と並行してトレーラーハウスのホームページも開設した。

 

色々なトレーラーの誕生が生まれ始める

 

上モノにタイヤが付いた一般的なトレーラーハウスではなく弊社が開発したトレーラーは特別な構造で

カセット式に簡単に脱着可能なトレーラー構造である。

上モノは単なる『荷物』である。荷物扱いだから車検の制約を受けずいろんなものが載せられる。

こうして自社開発のトレーラーやお客さんのトレーラーハウス作りが始まっていきました。

 

トレーラーハウス製作事例

https://trailer.moldec.net/products/

2015年 映像トレーラーの誕生

 

2014年岐阜県下各地区の商工会議所に所属する企業が集まったビジネス商談会が岐阜グランドホテルで開催された。弊社はプラスチック金型の設計サービス、3Dプリンターサービス、車輪ユニット脱着式トレーラーの商材で参加した。そこで多治見の映像制作会社から川(屋外)にプロジェクションマッピングしたいけどプロジェクターが雨風にさらされても大丈夫なカバーのようなものはできないだろうか?と相談を受ける。リアプロジェクションフィルムをガラスの内側に貼って銀行とかの動画を映したことがあるらしい。

 

プロジェクターといえば電子機器である。熱も出る、雨に濡れないようカバーで密閉すれば結露や高湿度で機器が故障しそうである。夏は日に当たれば高温になってくる、冬は逆に温度を上げないといけないぐらいだ・・・・そんなに簡単にできなさそうだ・・・いろいろ考えたあげく、

『そうだ!うちにはトレーラーがあるじゃん!!』トレーラーキャビンの中からプロジェクターで屋外に映せばいい、何ならトレーラー壁面にガラス窓付けそこで聞いたリアプロジェクションフィルム貼れば映像が写せる!!!そこで試作を作ることに決めた。

2015年 走るチャペル/ルーロット

 

映像トレーラーの試作に入ろうとしてたタイミングで相談案件が入る。

それは『走る協会』どこでも結婚式である。

神戸在住ウエディングドレスのデザイン・制作・リメイクを行っている女性であった。

その超斬新な夢の相談を受け、すごすぎるアイデアに共感して製作費の手助けにと補助金獲得の支援・製作のお手伝いもして神戸の地にて、トレーラーを利用した走るチャペルルーロットが誕生した。

 

ルーロットHP

http://roulottesjapon.com

 

2016年 各種映像トレーラーの誕生

 

ルーロットの仕事が終わり映像トレーラーの試作1号機が完成する。

一方の壁面には窓ガラスを付け、リアプロジェクションフィルムを内側に貼り超短焦点プロジェクターで80インチ程度のサイズ映像が写せる。

そしてもう一方は跳ね上げ窓にして雨天でも室内にプロジェクターを置き室外側に映像が投影できるようにした。

 

その後、映像トレーラーは進化を遂げていくことになる。

ここでは細かい説明はしないが以下のサイトを見ていただきたい。

 

トレーラーハウスHP

https://trailer.moldec.net

映像トレーラーHP

https://mpt.moldec.net

マルチユースキャビンHP

https://multi-use-cabin.jimdo.com

なかなか作れない屋外投射活用動画

 

ここまで3種類の映像系トレーラーを使いオープン前の老人施設駐車場に置き告知利用。

飲食店駐車場に置きお店広告配信、サプライズ動画配達、屋外音楽イベントステージ横に置き出演者アップのライブ配信、外部への投影窓(移動販売窓とも呼んでいる)で物売りし逆側では映像を流すなど

いろいろ活用例は出てきた。

 

しかし当初に考えていたトレーラーキャビンの中から屋外施設の壁などに映す活用事例が撮れない。

市内を見渡しても建物の窓があったり、駐車位置と壁の距離がなく物理的にできなかったりと・・・・

 

 

220インチモバイルスクリーン試作開発

 

そこで、考え方を変えた。

映像を写す壁がないなら、自分で壁を作ればいいじゃないかと!

うちには車輪ユニット脱着式トレーラーのプラットフォームがある。

 

調べて見ると関東ではねぶくろシネマ、品川オープンシアター、恵比寿ガーデンプレイスなどで上映会が行われている。

全国各地で映画祭も開催されている。

地元の各務原市環境楽園の屋外映画は、足場に時間を掛けて設置してスクリーン上映していたのを思い出す。

 

それならば、どこでも設置・撤収が革新的に簡単にでき、映像が写せる移動式のスクリーンを作ったら、全国の人に感動と笑顔を届けれるツールになると思った。

これができるのは、設計技術の知識とトレーラー事業を長年行ってきた自分たちしかないと思った。

 

2018年 350インチモバイルスクリーンプロジェクト始動

 

どうせやるなら日本一規模を目指そうと決めた。(ホントの意味の『0⇒1』発信しようと)

 

220インチモバイルスクリーンの試作を経てレンタル屋外映画スクリーン国内最大級サイズとなる350インチ移動式大型スクリーンを作ろうと決めた。

 

そして完成したら、多くの人に知ってもらう為に2018年3月中旬から半年間、プロジェクトに共感して参加を決めた長期インターンシップ生と日本縦断で映画上映しようと思う。

 

開発期間中に、長期インターンシップでお世話になるNPO法人G-netさんが『シェアプロ』という社会人インターンシップサービスを始めたと聞いた。

 

1年間の若手社員育成プログラムの最初の3ヶ月を使い地域のチャレンジ企業に飛び込む・・・共に生み出す始まりをG-netさんが伴走してくれるという内容だ。

一般社団法人 モバイルユニット普及協会はモノ作りを始めて28年。地元若手社員の力になればと協力を決めた。

今回のモバイルスクリーンプロジェクトに参加する富士ゼロックス3名の方とインターンシップの学生とチャレンジして行くことになった。